Pinter – スケッチを下絵にしたペインティング

Pinter – スケッチを下絵にしたペインティング

Don Seegmiller – Painter Master
Artist, author and educator [ WEBサイト ]

Corel Painter を使った、スケッチを下絵にした作業手順をご紹介します。
今回のペインティングでは、スケッチブック内のスケッチを採用しました。
ペインティングの下絵としてスケッチを使うことには、良い点と悪い点があります。

良い点は、白紙からペイントするよりもいたずら描きを使用したほうが豊富なアイデアを得られることです。
悪い点は、ほとんどの場合が単なる大雑把なアイデアで詳細に欠けるため、完成したペインティングとして直接取り入れられないことです。

結局、いたずら描きを使ってデザインやペインティングを行うことに決め、変更、再考、ペインティングのやり直しを適時行いながら作業を進めることにしました。 このような作業は、入念な計画を立ててからペインティングするよりもはるかに多大な時間と労力がかかりますが、 大変楽しいものであり、新しい技術や手法を試してみる絶好の機会でもあります。
※ご利用のバージョンによって、製品画面が一部異なる場合があります。

アイデアの源

いたずら描きは高級ホテルのドアマン/コンシェルジュからアイデアを得たものですが、ここでは、”田舎の地下牢の番人”というキャラクター イメージにします。8.5インチ×11インチの用紙に色鉛筆で描いた元のスケッチを200dpiでスキャンし、PNGファイル形式で保存してから Painter で開きました。


図 01

白色を取り除きながらカラーや値を決定していく

まず初めに、画像から白色を取り除きます。白色は見る人の気をそらし、白に重ねた色は薄暗く見えます。また、白い部分が広いと、ペインティングの各値の関係が適切に反映されません。 さまざまな方法で元のスケッチから白色を取り除くことができますが、今回のペインティングでは、Painterのブラシ カテゴリ中で私のお気に入りの1つである [デジタル水彩] を使用しました。[デジタル水彩] では透明カラーで画像を塗り潰し、調和したカラーや値を素早く定着させることができます。[デジタル水彩] は本物の水彩とは異なり、適用した部分を明るい色で塗り直し、暗くなってしまった部分をやり直すことができます。状態を見ながら、水彩境界やストロークをぼかして調整することもできます。私は、使用している用紙のテクスチャによってぼかしの具合が異なることを楽しんでいます。[シンプル水彩] ブラシを使ってペイントし、まずはカラー スキームと値の範囲を確定します。


図 02

元のカラーや値をペイントした後、[レイヤー] メニューでデジタル水彩レイヤーを乾燥させます。


図 03

一旦乾燥させると、[ぼかし] や [水彩境界] 設定に調整を加えることはできません。

ペインティングのカラーと値に満足するまで、デジタル水彩の乾燥手順を複数回繰り返しました。


図 04

ペインティング プロセス

カラースキームと値の設定が決まったら、画像のペインティングを開始します。 私はさまざまなカスタム/デフォルトのPainterブラシとカスタム/デフォルトの用紙を使用します。


図 05

お気に入りのデフォルト ブラシは、チョーク、クレヨン/チョーク(濃淡)、油彩/丸筆(不透明)、アクリル/ブリスル(キャプチャ)、エアブラシ/デジタルエアブラシ、鉛筆/リアル鉛筆(2B) などです。

今回のペインティングでは、主にカスタム バリアントを設定したデフォルト ブラシを使用します。Shiftキーを押したまま、個々のブラシやテクスチャをカスタム パレットにドラッグしておけば、ペイント中にブラシを簡単に切り替えることができます。


図 06

元のスケッチへの細部の追加やパーツの変更を始めます。ここでは、床に石畳を追加し、ドア アーチ部分に石細工を細かく書き加えました。また、ランプを掛ける部分を変更し、背景のドアを取り除き、キャラクターの片方の肩を持ち上げました。 このような変更を多数加えながら画像を完成させていきます。 この時点で多くの色が既に決定されているので、既存の画像からスポイト ツールを使って色を抽出して使用します。


図 07

キャラクターとその持ち物や周りの環境などをより洗練させるよう、変更を加えながらペイントしていきます。細部の追加や変更のほかにも以下のことを行います。

  1. [ブレンド/紙目水筆] ブラシを30%~50%の透明度に設定して使用し、カラーとエッジを一緒にブレンドします。このブレンドは、テクスチャをうまく活用して行うお気に入りの技法の1つです。
  2. テクスチャが新規レイヤーに追加され、石の壁が自然な趣きになります。
  3. テクスチャ レイヤーの [合成方法] を [乗算] に設定し、透明度を大幅に下げます。 [消しゴム] ツールを使用し、キャラクター、ランプ、小物、およびこれらの背後のテクスチャを削除します。

図 08

テクスチャが希望通りになったら連番保存 (Ctrl + Alt + S) を行い、テクスチャ レイヤーをキャンバスに固定してから、再度連番保存を行います。私は作業の初めから、ペイントを行うたびにPainter 12の連番保存機能を使用し、各画像の順次バックアップを作成しています。画像に大きな変更を加える前と後には保存するので、およそ30分おきに保存しているでしょう。私の場合、ペイントごとの保存ファイルが 100 個程度になることは珍しいことではありません。

キャラクターを洗練させる

次に、時間をかけてキャラクターに変更を加えて洗練させることにします。 これまでは試験的に番人をペインティングしてきましたが、 ここでキャラクターを完成品に近い形にします。 また、多数の合鍵が付けられたキーリングに仕上げのタッチを加え、ランプをキャンドルに変更します。 ペインティングの大半は、新規レイヤーに [丸筆(不透明)] ブラシを使って実行します。 新規レイヤーにペインティングする場合は、必ず [下の色を拾う] 機能をオンにして、ストロークとキャンバスの色がスムーズにブレンドされるようにします。 この機能をオンにすると、小さなスポイト ツール アイコンが青色に変わります。


図 09

キャラクターに個性を加える

地下牢で暮らす番人の肌が美しいとは思えないので、彼の頭部や手にテクスチャを加えて、より現実味のある風貌に近づけることにします。

以下の手順で肌のテクスチャをペイントします。

  1. [チョーク(濃淡)] ブラシとさまざまなテクスチャを使用し、新規レイヤーを作成してから、現在表示されているよりも少し暗い色を使って肌の部分へ大まかにテクスチャをペイントします。
  2. 新規レイヤーの [合成方法] を [乗算] へ変更します。
  3. 各レイヤーの不透明度を適当な値まで下げます。 画像ではテクスチャの不透明度が100%に設定されているので、はっきりと見ることができます。

図 10

4.単数/複数のレイヤーを追加し、同じテクスチャを反転させ、やや明るめの色で新規レイヤーをもう一度ペイントします。
5.新規レイヤーの [合成方法] を [スクリーン] へ変更します。
6.各レイヤーの不透明度を適当な値まで下げます。


図 11

肌のテクスチャをこのような方法で作成することは、強弱を思い通りに付けることができて非常に効果的です。

最後に各レイヤーの、背景にはみだしたテクスチャを消しゴムで除去します。 これで番人は、誇りある地下牢の住人にふさわしい薄汚れた肌になりました。


図 12

布にテクスチャを追加する

キャラクタの肌はふさわしいテクスチャを得ましたが、衣服の光沢はやや不自然に思えます。 番人の衣服に粗末な布テクスチャを追加して解決します。 肌にテクスチャを追加した時と同じ手法を使ってテクスチャを追加しましょう。


図 13

最終仕上げ

ここまでくればペイントの大部分が完了していますが、 もう少しだけ手を加えて仕上げましょう。

地下牢が清潔な場所であることはほぼあり得ないため、床にがれきやテクスチャを追加します。 同時に石畳に最終仕上げを行い、奥行きを与えます。 がれきやひび割れへの最終作業を行うために新規レイヤーを作成します。 [丸筆(不透明)] ブラシと [チョーク(濃淡)] ブラシを組み合わせ、がれきとひび割れの両方をペイントします。 画像内から明るめの色と暗めの色を抽出します。

水はねテクスチャの2番目の画像を開き、コピーしてキャンバスにペーストします。

このテクスチャは、使い古した歯ブラシでインクを用紙に吹き付けて作成し、スキャンして後々テクスチャとして使用するために保存したものです。このように手軽に完成できるアセットを作成して保存しておくと、デジタル アート制作においてほぼ無制限に使用できるため非常に便利です。


図 14

テクスチャ レイヤーがペインティングの床部分のみを覆うように変形し、[合成] モードを [乗算] に設定します。 床以外の部分を覆うテクスチャを消去します。 レイヤーの不透明度を27%まで下げ、[効果] メニューの [フォーカス/柔らかさ] を少し適用します。 最終的なテクスチャによって床のペインティングに奥行きと現実味が加わります。


図 15

同じテクスチャと技法を使用し、がれきに凹凸を追加します。 がれきの外側にあるテクスチャはすべて消去します。 画像を連番保存します。 テクスチャ レイヤーを固定した後、画像を再度保存します。


図 16

新規レイヤーを作成し、キャンドルの最上部に小さなキャンドルの炎をペイントします。 炎のレイヤーを複製します。 最下層の炎レイヤーに [柔らかさ] を適用し、[合成方法] を[スクリーン] に変更し、不透明度の値を低くして適当な弱い輝きを炎に与えます。


図 17

最後の作業はキャンドルの周りにほのかな輝きを加えることです。

以下の手順で簡単にキャンドルに輝きを加えることができます。

  1. 新規レイヤーを作成します。
  2. 新規レイヤーで円形の選択範囲を使ってキャンドルを囲みます。
  3. 新規レイヤー上の選択範囲を濃いオレンジ色で塗潰します。
  4. 選択解除し、新規レイヤーを3回複製します。
  5. レイヤーの1枚を元のサイズの約75%に縮小します。
  6. [合成方法] を [スクリーン] に変更します。
  7. レイヤーに [フォーカス/柔らかさ] を適用します。可能な限り高い設定値を使用してください。

図 18

8.2番目のレイヤーを選択し、[合成方法] を [スクリーン] に変更します。
9.この2番目のレイヤーに最高値の [フォーカス/柔らかさ] を適用します。
10.[柔らかさ] 効果をさらに2回適用します。
11.レイヤーが背景に自然に融合するように不透明度を調整します。 [合成方法] を [スクリーン] に設定すると最上位レイヤーの輝きが増します。
12.3番目のレイヤーを選択します。
13.3番目のレイヤーを元のサイズの2倍になるよう拡大します。
14.[合成方法] を [スクリーン] に変更します。
15.最高値に設定した [柔らかさ] 効果をレイヤーに 3、4回適用します。
16.不透明度の値を小さくし、3枚すべてのレイヤーの最上部にあるキャンドルの輝きを増強します。 不透明度の設定はご自分のお好みで決定してください。

画像はこれで完成です。再度保存し、残りのレイヤーをすべて固定してから最後にまた保存します。完成画像は図 19のようになります。


図 19

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